コンサル会社は新時代の神社である(全然褒めてない)
社畜として勤めていると、よくコンサル会社と絡む機会が多い。
どういう時にコンサルが使われるのか
例えば、DX支援でもそうだし販売戦略の策定みたいなところでもちょくちょくコンサル会社が介入してくる。
コンサル会社が営業をかけてくるというのもあるが、そもそもは事業会社の担当者が「戦略なんてよくわからないからどこかにぶん投げたい」というニーズが根源的にあるからだろうと思われる。
確かに今まで事業のオペレーション改善などやらされていた担当がいきなり上から事業戦略を考えよ!成長ストーリーの絵を描け!など言われても考案するのは手に余ると容易に想像できる。
そういう中で、コンサルというのは担当者にとってはある種の拾う神に見えるのだろう。
コンサル料は祈祷料?
ある会社の偉い人は「コンサルというのは祈祷料である」と発言しており、筆者は的を射た発言であると思った記憶がある。
実際、コンサルというのは確かにそれっぽい案を考案して、綺麗なスライドを作って説明してくるし、説明された側は「確かにそうだな」と不思議と納得させられる。
そして、更にコンサルがニーズがある点では、「いち担当者が作った案は社内でボコボコにされる」という問題がある。いかに優れていようが、社内の若手や中堅が作った案を素直に褒めるおじさんなどおらず、いかなる理由を付けてでもバッシングしてやろうという気概に溢れている。(そんなことに熱意をあげず他にやることがあるのでは…と思うが)
権威としてのコンサルティング
そういう中でコンサルは大いなる価値を持つ。「コンサルがそういってるならそうなのかも」である。要は名の在るコンサル会社が提案したことによる権威性の付与である。同じ提案内容でも社内の中堅社員が説明したところでボコボコにされるのが落ちだが、コンサルが説明するとあら不思議、「なんとなく文句が付けづらい」のである。
そして、権威性が売りなのでコンサルとしてもバカ高いフィーを請求できるし、例えフィーがバカ高くても大手企業からすると、大したことのない金額になる。※勿論トップティアコンサルであれば凄まじいが、それ以下のコンサルであれば数千万円で済む。
なので、コンサルが事業会社に介入する隙が生まれるし、事業会社としてもフィーが高くても発注したくなるインセンティブが生じる。
コンサル内容によって成功したかどうかは実はたいした問題ではなく、作る過程で安心したいかどうかが大事なのである。
コンサルは新時代の神社である
そういうわけで、企業の中ではいくらフィーが高くても、事業戦略に権威性や説明力を持たせるためにコンサルを挟めてしまう引力が存在しており、これは前述したように祈祷料といっても相違ないだろう。
安心というのは際限がないもので、宗教然り安心を求める人は幾らでもお金を払う。それと同様で、担当者や企業経営者も「安心」を求め、今もコンサルに多額のフィーを支払い続けている。
もはやこれは新時代の神社なのではないかと思い、新年の記事にしたものである。
【書評】「事業を創る人」の研究
- 新規事業は担当に任せるだけではダメ。新規事業を任せるとは、配属を決めることではなく、「権限を与えず責任を負わせること」でもない。
- 新規事業を任せるとは、「権限を付与し、新規事業を創るプロセスを支援し、結果に対する責任を共有する」ことである。
- 会社都合の方が好業績者の割合が高いというデータがあるが、これはビジネスコンテストや社内移動希望申請という仕組みが意味を持たないということではなく、プラン採用後に資金や人員を動かせることを保証するメカニズム=仕組みが大事ということ。
- 役員は事業や会社全体に対して俯瞰した視座を持っており、社内資源を動員しやすい立場であることから、経営による率先垂範型プロジェクトが最もうまくいく。
- 既存事業での豊富なキャリアは、ないよりある方がいいが、既存事業の在籍年数が長くなりすぎると「過剰適応の罠」や「能動的惰性」によりネガティヴな効果もある。
- 先行研究によると、アイデアが成功するには、そのアイデアの質よりも、そのアイデアに政治的な支援を集められるかどうかに関する見通しの方が重要である。つまりは、ビジネスアイデアよりも社内の巻き込みが大事である。
- 新規事業においては、PDCAのようなお膳立てモデル(コーゼーション)ではなく、まずは実行してから決定要因の秩序を理解する思考法(エフェクチュエーション)が効果的である。
- 上司側の意思決定の判断軸や担当への評価基準は、全て新規事業の特性に合わせて設定されるべきだが、明確な基準がない上司の場合はノープラン風見鶏上司になる可能性がある。
- 新規事業を経験したことのない上司は、新規事業の特性を無視した管理型マネジメントに陥りがちである。つまりは、新規事業の立ち上げ時に、既存事業部門と同様の「必勝前提」で高い目標を設定し進捗管理をしだす。そうすると、どんなに優れた人材であっても新規事業はすぐに結果が出ないため、人材の疲弊を招くこととなる。
- 新規事業は多産多死となりがちだが、経営者が多産多死型スタンスを持っていると事業の業績は低くなる。この結果が示唆することは、「やるからには成功させよう」という一意専心の覚悟が必要だということ。
- 新規事業は誰も正解を知らない。だからこそ、経営者は評価する立場から現場に降りて、新規事業部門の人々と一緒に考えて議論を重ねていくことが、正解に近づく唯一の最良のアプローチである。
- 新規事業担当者は、孤独になりがちなので社外の新規事業担当者とのつながりを作るべき。知の探索による外部資源の獲得、事業アイデアに対する客観的評価の獲得、境遇の相対化など様々な効果がある。
- 組織の構造を変えることで、既存事業部門の論理で新規事業の方針が左右されてしまう問題を解決するアプローチが出島モデルであるが、出島モデルの課題は既存事業との交流機会が途絶えること。一方で近づきすぎることは軋轢を生むことから、新規事業部門は二律背反の関係を迫られている。
- 新規事業は、出島モデルにして既存事業からは遮断しつつ、太い橋をかけて権力者を往来させて一定の接続は保つ、というバランス状態を志向するべき。
- 既存事業の持つ人材や技術・顧客・販売チャネルなどの経営資源は共有できるように接続しておく仕組みを用意する。
- 既存事業の事業マネジメントの方法は遮断する。事業や人を評価する基準は既存事業とは完全に分けて、新規事業に適したマネジメント手法を取り入れるべき。
- 自社資源の活用こそが、成熟した企業の中で新規事業を生み出す最大のメリット。社内に活用できる資源があるからこそ、新規事業は成功する。逆に言えば、自社の資源を活用できなければ、企業内で新規事業を立ち上げるメリットはない。
- 成果を上げた企業と成果が出なかった企業との間で最も大きな差が出ているのは「自社の強みの分析・他社研究」の有無。成果を上げた企業の多くが自社分析を行なっていた。強みがどこにあってどういう資源があるかを把握することが新規事業の成果に大きく影響する。
株式を売却するときの4つの理由
基本的に購入した株式は売ることなく、目標株価になるまで持ち続ける方針ですが、それでも売却するときは必ずきます。売却するときはどのような時なのかを書き留めておきたいと思います。
売却タイミング①:銘柄選択を間違えた時
まずはこれです。例えば成長率が高く有望な企業だったとしても、粉飾決算や不祥事などが発生することは結構あります。
また、彼らのビジネスモデルが思っていたより堅牢でなかったり、大手が競合として進出してきたり、見込んでいた成長ストーリーが破綻したりと、想定が崩れるときはあります。そのような場合は、売却する場合があります。
どんなに事前の分析をしっかりやっていたとしても、会社や事業は生き物ですから予測不可能なときは出てきます。
例えば、クックパッドはフリーミアムモデルとして非常に優れたビジネスモデルを持つ企業でした。創業者は海外事業に注力するために、CEOを招聘したことがありました。当時のCEOは穐田氏であり、彼は既存ビジネスを軸に、生活やライフイベント事業に投資し多角化を進めていました。
この事業展開は奏功し、企業価値は向上を続けていましたが、ある日創業者がこのCEOを追い出し、祖業の料理に注力していく意思決定が行われました。
この良し悪しはどうなるかわかりませんが、少なくとも株価は暴落し現在ももとに戻ってはいません。
このように、既存事業が順調であっても経営陣のイザコザなどで企業はいきなり変わることはありえます。そうなったときにすぐにアクションできるように、企業のウォッチはしておくべきです。それを行うためには、ある程度保有企業数を絞っておくべきでしょう。
売却タイミング②:現金が必要になった時
こちらは、どちらかというとプライベート関係な理由ですね。家庭の関係でやむなく現金が必要になったりする可能性はあります。ただ、基本的に投資は余剰資金で行うべきであり、問題外な理由だったりします。
あくまで生活に使わない資金で投資をするようにしましょう。
売却タイミング③:株価が割高になった時
これは嬉しい売却理由ですね。目標株価になったら利益を確定するために株を売ります。ただ、割高だと思っていてもそのまま株価が天空に登っていくときもありますから、株を売るというのは難しいですよね。
割高だと言われつつ上がり続けた銘柄といえば、エムスリーやモノタロウ、BASEとかでしょうか。特にエムスリーやモノタロウなんて、10年以上右肩上がりですけど、これを持ち続けるというのはなかなか難しいでしょうね。
もちろん、利益を得られるのは嬉しいことなのですが、利確したあとで伸び続ける企業を見るのはメンタルに来ますよね。株式投資はつらい・・・
売却タイミング④:他に有望銘柄が見つかった時
これも難しい売却理由です。分析をして自信を持って買った銘柄であっても、更に有望な企業が見つかることはままあります。保有株もイケてるけど、もっと良い株を見つけちゃった、というのは避けようがありません。
理想的には、別の資金でその株を買いたいのですが大体の人はすでに余剰資金は有望株に突っ込んでいます。資金管理については以下のエントリでも言及しています。
syachiku-finance.hatenablog.com
最後に
いかがでしたでしょうか。このように売却と言っても様々な理由があります。理想的な売却パターンは③の株価が割高になったら、というものですが、往々にして想定外の事情は度々起こります。
ただ願うのではなくて、そのような可能性を常に想定し、良い株を止む無く売らないようなキャッシュポジション、ないしは資金管理をしていくようにしたいものですね。
企業分析:ブリッジインターナショナル(7039)
最近、さぼり気味ですので久しぶりに企業分析をしていきます。
株式投資はどうなっているかというと、ここ数か月売買は全くしていなかったのですが、良い企業を見つけたので打診買いをしました。その企業についてです。
その企業とは、ブリッジインターナショナル社であり主にインサイドセールスの支援サービスを提供している会社です。
1.企業概要
まずwikiから引用します。
ブリッジインターナショナル株式会社は、B-to-B(法人対法人)の営業とマーケティングに特化して、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス、コンサルティングサービス、ITソリューションを提供する企業。
創業は2002年、現在も代表をしている吉田氏が日本IBMを経て設立した会社です。吉田氏は、現在も約36%の株式を保有する大株主です。
同社は、創業以降一貫して、法人営業の課題解決の一つとしてインサイドセールス関連のサービスを展開してきました。
インサイドセールスとは、顧客と直接会わずにメールや電話、チャットなど様々なチャネルを活用して、法人営業の一部のプロセスを担当する役割となります。
従来は、アポ取りから制約まで一人の営業マンが属人的に業務をこなしていたのですが、近年はインサイドセールスと訪問型営業と、それぞれの担当が得意な領域を分担して営業効率を高める企業が増えてきています。
昨今のコロナ禍においては、顧客の訪問が難しくなっており、今まで以上にインサイドセールスの導入があらゆる企業で進められている状況です。そのような大きいトレンドの中で急成長している企業が、ブリッジインターナショナルとなります。
2.財務状況
では、BS、PL、CSを順番に見ていきましょう。
まずはBSですが、貸方は年々自己資本を蓄えており、借り方もキャッシュが溢れている素晴らしい状態となります。また、売上債権や無形固定資産の割合が大きいようです。無形固定資産が大きいのはソフトウェアを開発しているので当然として、売上債権の大きさは推測にはなりますが、B2B事業なので売掛金が大きいと考えています。どちらも全く問題となるものではないでしょう。
PLを見ますと、売上や営業利益ともに綺麗な右肩上がりです。営業利益率も10%を超えており、こちらも全く問題ありません。
CSについては、営業CFは堅調でありますが、投資CFが大きくFCFは2020FY断面ではマイナスとなっています。欲を言えばFCFがプラスであれば最高なのですが、成長に向けた投資ということですし、現金も豊富にあることから投資には問題ないでしょう。
3.事業状況
では、事業概要です。今年8月に公表された決算説明資料をもとに見てみましょう。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7039/tdnet/2015907/00.pdf
事業セグメントは大別すると、インサイドセールス事業と研修事業の二つとなります。売上高ベースの比率でいうと、7:3程度となっています。
なお研修事業は、今年3月にアイ・ラーニング社を買収したことによるものとなっています。
ブリッジインターナショナルがアイ・ラーニングを買収/教育研修・人材育成事業のM&Aニュース | M&A・事業承継の仲介会社ならM&A総合研究所
インサイドセールス事業について更に深堀をすると、3つに分類できます。
②コンサルティングサービス
③システムソリューションサービス
インサイドセールス事業における売上高ベースの比率では、約90%がアウトソーシングが占めており、コンサルティングサービスが2.9%、システムソリューションが7.6%と続きます。いずれの事業も成長を続けており、トータルの営業利益率も10%以上を維持しており、収益性を維持しつつ業績を伸ばしています。
研修事業も、以前は教室でリアルでの研修でしたが、現在は全てをデジタルに切り替えたことで更に高収益な事業となっており、今後の成長が楽しみですね。
4.強み
強みについては、同社HPを見るに、インサイドセールスのリーディングカンパニーとしての実績となるでしょう。創業以降一貫して、同市場で培ってきた知見は何よりの武器であると考えます。このビジネスはB2Bとなりますから、社内決裁もありサービスを簡単に変えるとは思えません。そういうところではこのような実績はかなり効いてくると個人的に思っています。
近年日本企業においてもインサイドセールスが営業改革のひとつの手法として浸透しています。当社は2002 年の設立以来、日本においてインサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきたリーディング・カンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、インサイドセールスの「仕組み」「リソース」「道具」という様々なサービスを提供してきました。BtoB アウトバウンドテレコールサービスの国内売上高シェアでは8 年連続でNo.1 の実績を達成。先進的で独自の取り組みを続ける私たちの一貫した姿勢が評価されています。
5.懸念事項
懸念事項を上げるとすると、①インサイドセールスという役割の縮小可能性や②競合事業者の出現あたりでしょうか。インサイドセールスの縮小という点では、可能性は限りなく少ないと考えます。理由としては、最初に挙げたように、生産性向上のための役割分担という文脈でのインサイドセールスであり、よほど非合理な判断をする会社じゃない限り、従来の属人的なセールスに敢えて戻る企業はないと考えるからです。市場は合理的な企業が勝つと思われ、そのように合理的・科学的に役割を分ける企業は今後も増えると予想され、それに伴い市場の拡大は今後も続くでしょう。
一方で、競合他社の出現というのは、注意する必要があると考えます。デジタル化の進展は早く、より効果的・生産的なテクノロジーやサービスの出現によって、同社の売り上げが取られるリスクが考えられます。しかしながら、B2Bの市場ということもあり、既存オペレーションの変更が伴うことからスイッチングコストは高く、急速な売り上げ減少リスクは少ないと思われます。
6.市況
バフェットコードから、市況を見てみましょう。
9/1時点の株価は2,654円であり、時価総額は95億円と小粒の企業です。PERは24.5倍とROE11%で売上高CAGRが19%の高収益成長企業にしては割安となっています。
PSR1.7倍、PEGレシオ1.2倍と、割高感はまだなく、今のうちに仕込んでおきたいと思いました
インサイドセールスは今後も拡大していくことはほぼ間違いなく、これは間違いなく買いだと判断します。テンバガーは難しいかもしれませんが、数倍程度ならば見込めるでしょう。
7.まとめ
ブリッジインターナショナルを分析した結果、有望な成長市場におけるリーディングカンパニーでありながら、時価総額はまだ小さい上に株価は割安という分析結果となりました。
安全性:○自己資本比率72.3%、現金等1,088/有利子負債290と財務は健全
収益性:○ROE10%以上と十分
成長性:○トップが大株主、成長市場のリーディングカンパニー
割安性:○PER24.5、PSR1.7、PEGレシオ1.2と割安
以上、4つの要素、いずれも良好で安心して持てる銘柄です。
早速、本日購入し主力株としました。
想定株価については今回は考えていませんが、個人的にはかなり安心して持てる銘柄だなと思っています。さて、どうなるでしょうか。。。
NISA活用方法と収益シミュレーションについて考えてみた
皆さんNISAは活用しているでしょうか。
NISAとは、毎年決まった非課税投資枠が設定され、上場株式や投資信託の配当金(分配金)や値上がり益が非課税になる制度のことです。
NISAは二種類ある
NISAといっても、一般NISAと積立NISAがあります。詳細については下の図を見てもらいたいのですが、ざっくりいうと年間の投資額と非課税期間と投資可能商品が違います。
私の認識では、将来上る可能性のある個別株に一発勝負をかけたいなら一般NISA、コツコツ長年積み立てるなら積立NISAといったところでしょうか。どちらを選ぶかは自由です。どちらが有利といったこともありません。
NISAとつみたてNISA、なんとなく選ぶならどっち?メリット、デメリットは? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
で、私はどうしているかというと積立NISAを選んでいます。今回は具体的にどのような運用をしているのかについて書いてみます。
なぜ積立NISAなのか
なぜ私が積立NISAにしているかというと、一般NISAにしても投資枠が120万円と小さく集中投資するには物足りないこと、損益通算ができないということからです。私は個別株投資は、小粒のグロース株がメインなのですが個人的にはもう少し大きく資金を入れたいということがあります。
また、個別株は成長の前提が崩れたときに損切りする可能性があるのですが、NISAですと損益通算ができないので個別の投資には向いておらず、またそれが投資判断を狂わせた経験があるので、NISAについては毎月コツコツ何も考えず資金を積み立てられることにしようということになりました。
投資先はインデックスファンド一択
積立NISAでは毎月コツコツ積み立てるので、長期的に成長するマーケットを対象にしたインデックスファンドが有効です。私の投資先はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)です。これからも人口が増え、イノベーションが起こり続けるであろうアメリカのマーケット全体に投資をするのが最も良いと考えています。
選べる投信は他にも沢山ありますが、①株式、②インデックス、③米国or全世界という条件であれば選択肢は10個程度に収まるでしょう。それであればこの商品以外であっても大した違いはありません。期待リターンが最も高いアセットクラスである株式を、インデックスの低コストで運用し、成長率が高い市場のファンドを買うという戦略が積立NISAに限らず積立投資には有効です。
S&P500の利回りは?
私はS&P500のインデックスファンドを買っているわけですがどのくらいリターンが出ているかを見てみましょう。このサイトを見ると、1926〜2012年の86年間の平均リターンは9.7%という結果であることがわかります。凄い利回りですよね。
このくらいのリターンがあるのであれば、よほど高成長企業が見つからない限りはインデックスファンドへの投資で良いんじゃないかと思わせてしまいますね。
S&P500に20年投資をしたらどうなる?
そんなわけで、今回紹介した投資法で20年後にどれくらいリターンが出るかをシミュレーションしてみましょう。毎年40万円を投資して、年利9.7%得られると仮定すると総額リターンは以下の通りとなります。
20年間で800万円投資をすると、なんと2,434万円貯まることとなります!老後2,000万円問題が以前騒がれていましたが、積立NISAだけで解決してしまいますね!これがNISAでないとすると、結構税金を取られます。このケースだと約1,600万円の利益があるので、その20%の320万円が課税対象となるのですが、それが非課税となります。320万円も非課税になるって結構威力凄くないですか?
楽天証券での積立がオススメ
このように、結構な威力を発揮する積立NISAなのですが、登録は楽天証券を勧めています。楽天証券の優位性の一つとして、投信購入にクレジット決済が可能ということがあります。これによってなんと支払額の1%のポイントが貰えます。積立NISAは年間40万円が上限なので毎月30,000円弱の投資ができるのですが、そうすると1%の300ポイントが貰えることになります。商品をなにか買うことなくポイントがもらえるのは大変得だと思いますので、コスパ的には楽天証券一択だと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。積立NISAは毎年の投資枠は小さいものの、今回の試算では、20年続けると2,000万円を超える資産を構築できることがわかりました。それを毎月3万円程度の支出と無理のない範囲でできるので、若いうちから続けることがお勧めです。そしてこれに加えて、個別株投資も続ければ将来資金に困るというのはあまりないのだろうなと思います。無理なく運用して豊かな老後を贈りたいですね。あわよくば老後になる前にゆっくり過ごしたいものです。
カーシェア事業について〜事業の性質を分析する
皆さんこんにちは、めっちゃ久しぶりのエントリとなります。
最近の変化といえば、遂に車を手放しました。長年車を所有していたのですが、維持費が高い割にめっきり使わなくなりましたので自動車税の通知をきっかけに手放すこととしました。
よく考えると、自動車税や自動車保険、駐車場代など毎年かなりの出費です。自動車税が5万円、保険も5万円、駐車場が毎月1万円、ガソリン代もかかる・・・となると年間20万円程度は平気でかかってしまいます。冷静に考えてその分は投資に回すほうがいいですよね。
ふと周囲を見渡すとカーシェアがかなり増えてきており、これで十分なんじゃないかということでカーシェアも今後は実験的に使ってみる所存です。
というわけでカーシェアビジネスについて今回は考察していきたいと思います。まずはカーシェア市場を見てみましょう。
2021年第一四半期:主要6社 – カーシェアリング市場動向 | カーシェアリング比較360°
ステーション数の推移を見ると、タイムズカーがぶっちぎりの一位で、次いでカレコ、オリックスとなっていることがわかります。タイムズカーはまあ知ってるとして、カレコはカーシェアリングジャパンという会社が展開しているのですが、2017年に三井不動産リアリティに買収され、現在は三井のリパークなどでカーシェア事業を展開しています。三井のリパークも沢山ありますから、その優位性を利用して業界2位につけています。3位のオリックスもよく見ますよね。
オリックスは平日のちょい乗り需要に応えるため、平日定額プランを提供したりと他社との差別化も図っています。私個人は休日のちょい乗りが多くなる予定なので、これは使わないかな・・・
というわけで、カーシェアは主にこの3社がメインプレーヤーになります。カーシェア事業は、ユーザー視点からすると沢山利用場所が多いほど利用価値が上がります。例えば、家の周りに一箇所しかないと使いたいときに車がなかったりするのですが、数箇所あれば使いたいときに使える確率が上がり、それなら自家用車は不要だなと考えたりするわけです。これはIT事業におけるネットワーク効果と近いかもしれません。
そうすると、如何に駐車場用地を獲得するかが勝負どころとなります。そういう意味では土地持ちの方への営業力というのが大事になるかもしれません。
また、用地確保に加えてシステム運用というのも重要だと思います。例えばタイムズはトニックという情報システムが強みであるとされています。
土肥: 黒字化達成の背景には3つの武器があるから、といった話をうかがいました。しかし、それだけではないですよね。パーク24には、情報システム「トニック」というもう1つの“武器”があるのではないでしょうか? 駐車場ビジネスはトニックを使って、売り上げをアップされたそうですが、このシステムについて詳しく教えていただけますか?
内津: トニックを使って何が分かってきたのかというと「稼働状況」なんです。駐車場の稼働率が高ければ料金を少し上げて、稼働率が低ければ料金を少し下げる。先ほども申し上げましたが、利用されていない駐車場は空気を置いているようなものなのでもったいない。しかし、トニックを使えばリアルタイムで空いている駐車場が分かるので、効率よく運営できるようになりました。
例えば、駐車場が満車なのに、そこにカーシェアのクルマを置くと、会社の売り上げを食ってしまうことになりますよね。カーシェアのクルマがなければ売り上げが伸びていたのに……といった話。これはよくないことなので、データを分析して「この駐車場は稼働率が高いので、カーシェアのクルマを置かない」「この駐車場は稼働率が低いので、カーシェアのクルマを置く」といったことを決めているんですよ。
カーシェア事業で、なぜ「パーク24」だけが黒字化できたのか:水曜インタビュー劇場(カーシェア公演)(4/8 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
カーシェア事業というのはそれだけでなく、駐車場事業とのあわせ技です。駐車場需要が高いところはカーシェア用の車を置く必要はなく、ある程度駐車場需要が低いところに車を設置するわけです。そのバランスを適切に見極めたプライシングにはシステムが欠かせません。
以上から、カーシェア事業は用地集積とシステム開発力というのが肝と私は考えています。この2点というのはいずれも先行者優位がある要素です。例えば、用地集積についても駐車場が多ければ多いほどカーシェア事業の利便性が上がり、それによってユーザーをロックできますし、システム開発というのも事例が多いほど改善がしやすくなるという性質があります。
そういう意味では現状で駐車場がない事業者が大逆転するのは難しく、現状強いところが今後も強くなり続ける構造になりやすい事業であると考えることができます。
今はユーザに過ぎませんがもし投資をするとしたら、一位のタイムズカー運営会社のパーク24にするべきなんでしょうね。FY2020決算はコロナや海外事業の特損により大赤字という結果になりましたが、自家用車は今後も減り続けるでしょうから長期的には伸びる会社なのだろうと思います。
投資と投機の違いについて考える
ロビンフッドという個人投資家向けの株式取引プラットフォームが話題になっています。詳細は記事を読んで頂くとして、大まかな流れとしては、株価が低迷していたゲームストップ社の株を、個人投資家がネットコミュニティで団結し買い向かったというものです。
これにより、空売りを仕掛けていたヘッジファンドが大損したことも話題性を呼びました。
ゲームストップ株急騰で痛手のメルビン、1月に53%の損失 - WSJ
空売りを仕掛けられている株に、一致団結して買い向かおうぜ!という動きは一般的に投機的だと思われます。よく「投資と投機は違う」という言説を見かけますが、実際に明確な違いはあるのでしょうか。
最もしっくりくる違いは、投資アプローチでしょう。本来の価値とかけ離れている企業の株を安く購入し、本来の価値ないしはそれ以上に上がることに賭けることは投資の王道だと思います。一方、株価が上がっているから買うというのは企業の価値を無視しているので投機と言えそうです。
また時間軸による区分けもできそうです。中長期保有をしている場合は投機ではなく投資ですね。ただし、需給状態によっては短期間で株価が急上昇する場合がありますので本来企業価値に基づいて買っていたものの、企業価値を超えてしまったのですぐに売買するケースもよくあります。この場合は、周囲からは投機と思われてしまうかもしれません。
また、企業価値というのは投資家それぞれが想定するものでしかなく、現に株式相場はあらゆるニュースによって、毎日違う振る舞いを見せ、価値は日々変動しています。そう考えると、投資と投機の違いというのも実は明確な線引きはできないのだろうなと最近は思っています。個人が投資だと思っていても周囲からは投機だと思われことは結構あることなのだなと。
同じ投資であっても、バリュー投資かグロース投資かというのもあります。グロース投資は、急成長する企業をそこそこの価格で買い、更なる株価上昇に賭ける手法ですが、これも本来は将来的な企業価値を目安に株を買いますが、バリュー投資家からすると投機的だと思われるかもしれません。
話は戻りますが、ゲームストップ社の株における個人投資家の売買は、明らかな投機でしょう。彼らは企業価値を見ておらず、空売りを仕掛けているヘッジファンドを見ていました。そして、上がり続ける株価チャートを見て喜んでいます。そこに企業の業績や将来稼ぎ出す利益などの考えは無い可能性が高いです。
そう考えると、投機と定義する範囲は意外と狭いのだと思います。企業価値以外の要素を主に考え資金を投ずることを投機というのであれば、今回のロビンフッドの件は明確な投資です。では金銀などのコモディティ、将又ビットコインのような暗号資産の購入は投資なのか、投機なのか。ここはかなり難しいでしょう。
株式投資であれば、理論的には株価は将来にわたる利益の合計を現在価値に割り引いたものであると定義されています。これは企業という主体があるので分かりやすいですね。では金やビットコインの価値をどう見積もるかというとコンセンサスは取りづらい気がします。そう考えると、これらへの投資は投機と呼ぶ方が自然なように思えます。
では、投機が悪だというとそんなわけでもありません。有事の金とはよく言いますが、株式市場が低迷する場合にはよく株の資金がコモディティに流れます。これを投機だと言って非難する人は少ないですが、投機にも良いものと悪いものがあるのかもしれません。
一番、カッコいい投資は自らが企業価値を見積もり、需給を気にせず安い時に買い株価上昇を静かに待つというバフェットさんみたいな投資方法でしょう。これは孤高という感じでイケてますよね。ですが人気の株を買うと、いくら企業価値を見積もっていたとしても、需給の波に乗ってる投機でしょと言われたりします。
ダラダラと書きましたが、結局は投資と投機は投資基準が違うだけで貴賤なんてものはなく好き嫌いと言う身もふたもない話になります。いわゆる投資家は投機を毛嫌いする傾向にありますが、投機する人がいないと株式市場でミスプライスがつかなくなり彼らの投資機会が無くなります。投機も市場の流動性を保つために有益な存在でしょう。
以上纏めると、市場全体としては投資と投機は機能補完的な役割分担となっており、投資は投機による需給変動がなければ成立しえないし、投機もギャンブル的な娯楽性があるため消滅はあり得ないと考えます。
私としては、投機的な動きはミスプライスを生むため投資に有益な存在だと考えています。なのでより良い投資をするために投機的動きは歓迎していくというスタンスでこれからも細々と投資をしていきます。本当に纏まりがないですが、以上です。