『確率思考の戦略論』を読んで~戦略の基本的な部分について
○市場構造を決定付けているものはプレファレンス(Preference)である。プレファレンスとは、そのブランドに対する好意度をさす。
プレファレンスは、以下の3つにより構成されている。
(1)ブランド・エクイティ
(2)価格
(3)製品パフォーマンス
プレファレンスを高めることで自社製品を購入して貰える確率が向上する。
○消費者の意思決定は、各人が持っているそれぞれ面数の違うサイコロを振っているようなものである。面数と出る確率は、カテゴリとプレファレンスにより決定される。
○サイコロの面数は、各人が購入候補として考えている製品の選択肢の集まり(エボークト・セット)と等しい。
アイスを買う場合を考えると、ある人のエボークト・セットを以下のように仮定する。
・ハーゲンダッツ(購入確率50%)
・チョコもなか(購入確率30%)
・雪見だいふく(購入確率10%)
・その他(購入確率10%)
その人の年間のアイス購入回数が20回であるならば、ハーゲンダッツは確率的には10個購入されることとなる。
○各人が持っているエボークト・セットにより購入されたあるカテゴリーに属する商品の合計数がマーケットシェアになる。
○カテゴリーの市場構造は、プレファレンスにより決定される。化粧品に興味のない男性は化粧品へのプレファレンスは0であり、アニメが好きな男性のアニメ市場のプレファレンスは大きくなる。
○戦略の焦点は3つしかない
①自社ブランドへのプレファレンス(Preference)を高める
②認知(Awareness)を高める
③配荷(Distribution)を高める
・この中でも無限の可能性を持っているのがプレファレンスであり最も重要。②③は物理的上限があるが、①は無限大。
・①をあげることを「質的な成長」と呼び、②③を上げることを「量的な成長」と呼ぶ。
・①②の違いとして、①は買ってもいい選択肢であるが、②はそもそも存在を知っているかという話。認知が十分になければ、そもそも量が伸びない。認知はCMである程度伸ばせる。
・③は、消費者がその商品を買おうと思えば物理的に買える状況にある割合を示したもの。
・買いたくても買えない人がいると配荷は低い。どこにいってもその商品がある状況は、配荷が高いと言える。
・問題のあるビジネスは②③に問題がある場合が多い。②③が足りなければプレファレンスで決定されたシェアに達することができない。②③を伸ばすことは一番わかりやすく確実性の高い勝てる戦である。
以上、まだプレファレンスの高め方など詳細に述べられたチャプターがありますが、後日書きます。