プラットフォーム事業と一言で言っても、鉄道事業もそうですし、スーパーマーケットもあらゆるメーカーの商品をまとめて提供するプラットフォームです。しかしながら、インターネットの普及により、インターネット上でのプラットフォームが出現しました。実物のモノが必要がないため、非常に高収益なビジネスモデルです。今回はインターネットプラットフォーム事業についての分析を行っていきます。
- 作者: 平野敦士カール,アンドレイ・ハギウ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/08/12
- メディア: 単行本
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プラットフォームの種類
2種類に分けるとすると、ツーサイドプラットフォームとマルチサイドプラットフォームに区分けできます。前者はマッチングと言った方がわかりやすいかもしれません。売りたい人と買いたい人を結びつける仕組みです。昔はヤフオクが筆頭でしたが、今はメルカリが最もわかりやすいでしょう。出会い系サイトもツーサイドプラットフォームですし、不動産仲介サイトもツーサイドプラットフォームです。
そして後者は、プラットフォームを利用している不特定多数のユーザに対して、サービスを提供するものです。クックパッドは、自らの料理レシピをクックパッドユーザに対して公開するサービスです。Appstoreもクリエイタが作ったアプリをアップルユーザに提供する場なので、マルチサイドプラットフォームです。
プラットフォーム事業の強み、機能
プラットフォーム事業の機能は、マッチング機能、集客機能、ネットワーク効果の3つがあります。マッチング機能は需給を結びつける仕組みです。そのプラットフォームを活用すれば、自力でがんばるより低コストでマッチングが可能となることに価値があります。
集客機能も同様で、例えば楽天市場を利用する店舗は、自らがサイトを作るより楽天市場を活用するほうがユーザが増えるから使っています。「ECなら楽天、フリマならメルカリ」といった認知がプラットフォーム事業の強みになります。
そして最後は、ネットワーク効果です。LINEもコミュニケーションのプラットフォーマーですが、当初は、skypeやカカオトーク、viberなど同様のサービスが乱立していました。その中で、スマホネイティブのインターフェイスの提供や、効果的なプロモーションにより圧倒的なシェアを獲得しました。ネットワーク効果というのは、ユーザ数がそのままサービス向上につながる効果を指します。
LINEはコミュニケーションツールなので、友達が多く使えば使うほど便利になります。なので、一旦シェアが確立してしまえば、がらケーからスマホのような大きな構造変化が起こらない限りは、一位が勝ち続ける構造になります。
プラットフォーム事業で最も強力な例は、マイクロソフトのウインドウズでしょう。ユーザ全員がウインドウズを使うことで、ネットワーク効果が思い切り機能し、他のOSのシェアは圧倒的に小さくなりました。市場において圧倒的なシェアを持つと、価格コントロールも可能であり、営業利益率向上にも寄与します。
また、インターネット上では、実店舗と異なり物理的スペースが必要ないため、多くのユーザが利用しても、ユーザが少ない場合と比べて限界費用は大きくありません。収益がクロスポイントを過ぎると、変動費レスの高収益事業へと変貌していきます。
収益モデルについて
定額課金、成果報酬、広告モデルの3種類が存在します。
定額課金は、クックパッドの有料会員やNetflixのように毎月決まった金額を支払うモデルです。ストックビジネスなので安定した収益が期待できます。
成果報酬モデルは、マッチング成立の都度、利用者から一定の利用料を貰えます。リブセンスという採用マッチングサイトを運営している会社では、掲載料は貰わず、成約時に一定の利益を貰っています。管理型職種への採用に特化したサイトを運営するMSジャパンも同様で、採用や就職関係では成果報酬モデルは有効に機能しているようです。
広告モデルでは最も有名なのはグーグルでしょう。検索エンジンというインターネットには不可欠な事業において圧倒的なシェアを有している同社は、ユーザからフィーを貰わずに、検索結果に応じて表示される広告を掲載している企業から広告費を貰っています。
ビジネスモデルとしてはテレビ局と同様のものになりますが、インターネットではクッキーを用いてターゲティング広告ができること、国内だけでなく国外にもリーチできるということで掲載する企業側としても圧倒的な市場の大きさであり、それによりグーグルも圧倒的な利益を手にしています。
まとめ
今回は、種類・機能・収益についてまとめました。私が投資している企業はプラットフォーム事業が殆どですが、収益モデルについては定額課金のタイプが多く、安定した収益が見込めるものが中心になっています。一言にプラットフォームと言っても記載のとおり、広範に渡ります。リーチしている市場規模、ビジネスモデルの粘着度(離れづらい事業か?)という点にも着目し、成長確度の高い企業に投資していきたいですね。