悲しき社畜が経済的自由を目指すブログ

これは、悲しき社畜が経済的自由を目指す物語である。

『学力の経済学』を読んで

悲しき社畜であっても、家族があり子供がいることでしょう。

そんな我々のために有益な書籍がありましたので紹介します。

 

教育に関する実証研究を行った結果が記されてある良書なのでぜひ手に取ってみてください。

 

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 

 

目の前に人参作戦は有効か?

実は、人間にはどうも目先の利益が大きく見えてしまう性質があり、それゆえに、遠い 将来のことなら冷静に考えて賢い選択ができても、近い将来のことだと、たとえ小さくともすぐに得られる満足 を大切にしてしまうのです。

目の前の人参作戦は、この性質を逆に利用し、子供を今勉強するように仕向け、勉強することを作送りさせないという戦略である。なので、人参作戦は効果がある。

 

「テストで良い点をとればご褒美」と「本を読んだらご褒美」、どちらが効果的?

前者はアウトプットに報酬があり、後者はインプットに報酬がある行為である。学力テストの結果が良くなったのは、インプットにご褒美を与えられた子供たちだった。特に、数あるインプットの中でも、本を読むことにご褒美を与えられた子供たちの学力の上昇は顕著だった。なぜアウトプットへのご褒美が与えられたケースと違いが出たのか。

 

インプットにご褒美が与えられた場合は、子供にとって何をすべきかが明確です。本を読み宿題を終えればいいわけです。一方、アウトプットにご褒美が与えられた場合、何をすべきか、具体的な方法は示されていません、ここから得られる教訓は、ご褒美は「テストの点数」等のアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」等のアウトプットに対して与えるべきだということです。

 

ただ、アウトプットにご褒美を与えることが全否定かというとそうではなく、どうすれば成績を上げられるのかという方法を教えて、導いてくれる人がいれば成績は上がるそうです。

 

お金は良いご褒美なのか

心理学の手法を用いて内的インセンティブを計測したところ、ご褒美が子供の「一生懸命勉強するのが楽しい」という気持ちを失わせていないことがわかった。子供が小さいうちは、トロフィのような子供のやる気を刺激するようなお金以外のご褒美が良い。一方、中高生以上にはやはりトロフィよりもお金が効果的である。

 

子供は褒めて育てるべきか

自尊心を高めることは成績を良くすることにはつながらない。成績が悪いのに褒めることは、根拠のない自信を持った人にしてしまう可能性がある。

 

「頭がいいのね」と「よく頑張ったわね」はどちらが効果的?

子供の元々の能力を褒めると、子供は意欲を失い成績が低下することがわかった。元の才能を褒められた子供は成績が悪い時に「自分には才能がないからだ」と思う傾向にある一方で、努力を誉められた子供は、より成績をあげようと挑戦を続けた。「能力を褒めることは、子供のやる気を蝕む」のです。子供を褒めるときは、具体的に子供が達成した内容を挙げることが重要です。

 

「勉強しなさい」はエネルギーの無駄遣い

親が勉強するように言うのはあまり効果がない。むしろ母親が娘に対していうのは逆効果であることがわかった。逆に「勉強を見ている」、「勉強する時間を決めて守らせている」という、親が自分の時間を犠牲にせざるを得ないような手間暇のかかる関わりというのは、成績への効果が高い。また、男の子なら父親が、女の子なら母親が係わると効果がある。勿論、働く中で大変であれば、学校や塾、家庭教師なども活用して問題ない。

 

友達が与える影響

友人や周囲から受ける影響を「ピア・エフェクト」という。

※私は「孟母三遷」を思い浮かべました。

孟母三遷の教え(モウボサンセンノオシエ)とは - コトバンク

 

学力の高い友達の中にいると、自分の学力にもプラスの影響がある。しかし、学力の高い優秀な友人から影響を受けるのは、元々学力の高かった子供のみだったので、単に学力の高い友達と一緒にさせても自信喪失になり、マイナスの影響を与える恐れもあります。

 

逆に、問題児の存在は、学級全体の学力に負の員が効果を与えることも明らかになった。

 

ピア・エフェクトがプラスに働くのは、同等程度の学力の子供が互いに影響を受けるときだったことがわかった。その点において、習熟度別学級は、ピアエフェクトがもたらすポジティブな効果を強める仕組みである。

 

「悪友は貧乏神」からどう逃れるか

子供や若者は、飲酒喫煙ドラッグなど、反社会的な行為について、友人の影響を受けやすい。貧困層が多く存在する地域での生活と、そこから引っ越した子供のそれぞれの逮捕される確率を調べたところ、引っ越した子供の方が低かった。引っ越しが負のピア・エフェクトから救ったということである。引っ越しによって、友人が変わり、生活習慣が変わることで、本来の自分に戻ることができる。身もふたもない言い方だが、貧困地域に住むのはやめましょう。強制的に環境を変えるという選択が、子どもの人生を守ってくれるかもしれないということです。

 

教育にはいつ投資をするべきか

最も収益率が高い(教育による年収への影響が大きい)時期は、子供が小学校に入学する前の幼児教育。人的資本への投資は、とにかく子供が小さいうちに行うべき。ただし、学習塾に入れれば良いというわけではなく、教育というのはしつけや人格形成体力づくりなども含まれます。学力以外の能力も重要です。幼児教育が重要な理由は、人生の初めの段階で得た知識は、そのあとの教育で役立つからである。

 

非認知能力の重要性

非認知能力とは、誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さなど、学力テストでは計測できない能力のこと。この非認知能力が、人生の成功において重要である。学校は、先生やクラスメイトから多くのことを学び、非認知能力を培う場所でもある。しつけを受けた子供は年収が高くなるという研究もある。親が幼少期のしつけをきちんと行い、基本的なモラルを身に着けさせるということは勤勉性という非認知能力を培うための重要なプロセス。試験の成績をあげるために、部活や生徒会の活動を止めさせることは、非認知能力の向上機会を奪う可能性があるので、慎重になるべき。

 

「いい先生」に会うと人生が変わる

遺伝や家庭の資源など、子供自身にどうしようもないような問題を解決できるポテンシャルを持つのは、教員である。能力の高い教員は、遺伝や家庭の資源の振りすらも帳消しにしてしまうほどの影響力がある。良い先生とは、ある子供を他の子供や集団と比較するのではなく、過去のその子自身と比較して昨日より今日、今日より明日と伸ばしてやれる先生。

 

まとめ

個人的に注目したポイントをまとめましたが、いかがでしたでしょうか。私はまだ子供はいませんが、子供に対しては、好奇心を潰さないこと、努力を誉めること、失敗を褒めること(失敗を恐れさせない)、住む場所を選ぶこと(貧困地域には住まない)は意識して取り組みたいなと思いました。勿論、それで教育は成功するとは限りませんが、このような学術的なエビデンスがあると、教育の指針が建てられるので、ありがたいです。