企業分析:クイック(4318)
御無沙汰しております。
偶然、面白い会社を見つけたので分析をしてみます。
いつも通り、GMOクリック証券とバフェットコードを活用しながら書いていきます。
1.基礎情報
企業概要
大阪に本社を置く総合人材サービス企業。1980年創業の老舗。2001年に東証一部上場。看護師や建設関連など専門職の人材紹介・派遣が中心。
求人広告、人材紹介、人材派遣、紹介予定派遣、業務請負の人材サービス4事業形態の他、人事労務コンサルなど周辺事業も運営。中でも労働需給がタイトになりがちな専門職の人材領域に強みがある。
同社は、人材サービス事業、リクルーティング事業、情報出版事業、その他の5事業を展開しているが、人事サービス事業とリクルーティング事業で売上高の82%、営業利益の93%を占めるがその他の事業も活発な動きを見せている。
財務状況
BSを見ると、自己資本比率は文句なし、現金も潤沢。右肩上がりの成長が見て取れます。
PLも、5yベースで売上CAGR13.8%、営利CAGR14.7%、純利CAGR14.3%と右肩上がり(バフェットコードより)。
CSについてもFCFが安定的に創出されています。財務的には全く問題ない、というか素晴らしいと思われます。
市況
時価総額は約269億円と小ぶりな企業。株価は軟調。予想PERは15.38倍と、東証一部の平均PER(15倍程度)同程度。
予想ROEは21.5%と高い。自己資本比率が72.9%と十分に高いため、高い資本効率ということが見て取れる。配当利回りも3%とそこそこ。配当性向は40%と毎年少しずつ上げてきている。
株主構成をみると、(有)アトムプランニングが26.6%の筆頭株主。次いで、日本マスター信託口や日本トラスティ信託口等のカストディアンが続き、和納氏や中島氏等の経営陣が名前を連ねる。
2.戦略と目標
競争戦略
求人広告、人材紹介、人材派遣、業務請負等、総合人材サービスを事業としているが、中でも医療機関を対象とした看護師や建設・プラント系エンジニアなど、専門・特定分野の紹介に強みを持っている。とはいえ、こうした分野でも競争が激化しているので、どのように差別化するかが焦点となります。
経営目標
決算説明資料とフィスコのレポートより分析。
2030年に1,000億円企業を目指して、既存事業の成長と新規事業の育成に向け積極的な投資を継続するとしている。一方で、M&Aの実施やAI技術による新たなビジネスモデルの開発を進める予定。
国内の少子高齢化と労働人口の減少により、国境を越えた人材サービスが増加する見通しのため、グローバルな人材流動化に向けたクロスボーダー転職市場の開拓等、グローバルHRビジネスを先駆的に進める。
2021年3月期売上高23,850百万円、営業利益3,430百万円を目指す。
3.強みについて
雇用情勢の追い風
有効求人倍率など見ていても、雇用情勢は改善を続けています。人手不足を背景に、需要はまだまだ旺盛。
専門職領域の強み
前述しましたが、専門職に強みを持っている企業。とはいえ、コモディティ化しやすいビジネスではあるため、バフェットさんが言うような堀はあまり無いように見える
4.目標株価
株価=EPS×PERとして理論株価を算定してみます。
連21.3のEPSは116.7 なので、そこに成長を加味したPER(今は15なので20に上がると希望的に設定)すると、116.7×20=2,344円となります。
2019/11/22時点での株価は1,628円ですので、まだまだ上昇余地はある企業と判断します。
5.まとめ
業務上、たまたま認知した企業だったのですが、四季報を見たら中々有望株だったこともあり分析してみました。今の持ち株的に購入はできておりませんが、バリュー・グロース的にもオススメできる銘柄だと思います。
<参考>
2019年3月期決算資料(2019/5/9)
https://919.jp/wp/wp-content/uploads/2019/05/19.5.9.10_19.3_setsumei.pdf
フィスコ企業調査レポート(2018/12/14)
http://fisco.jp/news/pdf/919_20181214.pdf