悲しき社畜が経済的自由を目指すブログ

これは、悲しき社畜が経済的自由を目指す物語である。

業界の常識は、別の業界の非常識〜ホテルの大浴場というイノベーション

今日はホテルによくある大浴場について、面白い逸話を聞いたので紹介です。

 

オープン・イノベーションの教科書――社外の技術でビジネスをつくる実践ステップ

オープン・イノベーションの教科書――社外の技術でビジネスをつくる実践ステップ

 

 

仕事柄、出張が多めなのですが、ホテルを選ぶ際に大浴場があるホテルを選ぶ方は私以外にも結構多いと思います。やっぱりホテルの個室の浴槽は小さいし、何よりお湯を貯めるのが面倒くさいですよね。

 

そんな何気なく利用している大浴場という存在も、ある企業が既存事業の経験を参考にホテル業界にインストールしたイノベーションということを知っている人はあまり多くないと思います。

 

大浴場を考案した企業は、どんな企業なんでしょうか。

 

それは共立メンテナンス(9616)という企業です。一応、株式投資のブログなので財務状況も見てみましょうか。

 

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BSを見ると、ホテルや寮・賃貸住宅を運営している企業ですのでやはり固定資産は多く、PLを見ると営業利益・純利益が右肩上がりです。時価総額は2,000億円程度、PERは19と東証一部の中では中堅程度の位置づけでしょうか。

 

共立メンテナンスは1979年に創業、受託給食事業から開始し学生寮や社員寮事業を展開します。そして1993年、ビジネスホテル事業を開始。これが今は有名なドーミーインというホテルです。

 

今やありふれたものですが、これまでホテルで大浴場を展開したホテルはありませんでした。「一体、大浴場の何がイノベーションなんだよ」と思われるかもしれません。

 

では、共立メンテナンスが起こしたイノベーションとは何なのでしょうか。

 

それは、大浴場の提供によって顧客満足度の向上と水道光熱費削減を合わせて実現したことです。コストをセーブしつつ顧客満足度を上げる方法を発見したのです。

 

日本人は基本的に、浴槽に浸かることが大好きです。大浴場が無い場合、個室の浴槽にそれぞれ湯船を張ることになります。しかし、共立メンテナンスは、学生寮・社員寮の運営経験から、大浴場を設置したほうが光熱費を大幅に削減できることを知っていました。浴場はスケールメリットがありますから、より多く顧客が入浴することで客あたりの光熱費を削減することに繋がります。

 

このノウハウをビジネスホテルにインストールしたところ、日本人のニーズに刺さり顧客満足度を大幅に向上させつつ、光熱費を大幅に削減することができました。

 

以下の引用は、LayerXの福島さんが言っていた言葉なのですが、イノベーションの起こし方をよくわかっているなと感じます。

村上:開拓者となる上で、この領域に挑む技術者にはどのような視点が求められると思いますか?

福島:“掛け算”の意識だと思いますね。僕の好きな考え方で、今いる業界の当たり前は、他の業界の当たり前とは限らない。今いる領域でのあたりまえを別領域にもっていくと、価値があると思われることは往々にして起こります。その意識で、他領域の知見を不動産にもどんどん入れて欲しいですね。

この掛け算の意識という言葉、とてもしっくりきます。共立メンテナンスは、ビジネスホテル業界と全く異なる「学生寮の常識」を掛け算することでイノベーションを起こしました。引用元も大変おもしろいので、ぜひご覧になってください。

note.com

 

悲しき社畜の皆様におかれましては、「いやいやそもそも働きたくないんだからイノベーション起こしたくねーんだよ!」という方もおられるかもしれません。

 

ただ、掛け算の考え方を持っていると株式投資の際に、古い業界にdisruptionを起こす企業を見極める視点に繋がることがわかると思います。