ルールの作り方について
ルールには、ポジティブリスト方式とネガティブリスト方式の2種類があります。ポジティブリスト方式というのは、原則禁止のルールです。「原則禁止だけど、認めたものはやっていいよ」というように、やっていい行為がルール上許されるという考え方なので、リスクを限定して安全を重視する運用に用いられます。
一方ネガティブリスト方式というのは、原則無制限です。やってはならないことがルールに規定され、それ以外は何をやっても許されるという考え方です。なので、状況が目まぐるしく変わるような場合のルール設計に利用されます。
ポジティブリスト:原則禁止。やっていいことだけを規定。リスクを限定し安全を重視する場合
ネガティブリスト:原則無制限。やってはならないことだけを規定。臨機応変に対応が必要な運用に用いる。
例を挙げると、警察機構は原則的にやっていいことだけを規定するポジティブリスト方式ですが、軍隊組織の権限は原則ネガティブリスト方式です。なぜ軍隊がネガティブリスト方式なのかというと、国防は臨機応変に対応する必要があるからです。
では、日本がどうかというと警察だけでなく、自衛隊もポジティブリスト方式で統制されています。そうなると、例えば他国が日本に対してミサイルを打ち上げても、命令が無ければそのミサイルを撃墜できません。2009年に北朝鮮がミサイル打ち上げを予告し、浜田防衛相が「破壊措置命令」を発令しました。これは命令がなければミサイルを撃墜できないポジティブリスト方式の性質をよく表している状況ですね。
日本だけかわかりませんが、日本は基本的にポジティブリスト方式のルールが多いようです。ポジティブリスト方式は原則禁止ですから、目まぐるしい状況変化に対応できません。このような2種類の性質を理解しながら、ケースに合わせてルールを当てはめていくことが必要です。企業においても、ポジティブリスト方式が横行していると新しい事業の種や従業員のモチベーションを削ぐことに繋がりかねません。
私たちはルールを作る際に、このような概念を理解せずに設計しがちですが、これを意識するだけで適切なルール設計ができるようになると思います。