悲しき社畜が経済的自由を目指すブログ

これは、悲しき社畜が経済的自由を目指す物語である。

『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』を読んで

投資の世界では超有名人と言えるcisさんの著書を遅まきながら読んでみました。ざっくり抱いた感想としては、彼は思い込みを極力減らし事実を捉えていく人という印象でした。

 

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

 

今現在買われていることで上がっている、売られていることで下がっているというのは、明確な事実としてそこにある。であればマーケットの潮目に沿って行動するのが一番勝つ可能性が高い。

徹底して株価という「事実」に沿っているのが印象的です。負ける人ほど、「ここから上がるはずだ」みたいな自分勝手な思い込みをしがちです。 

現実のランダムは残酷なもの。誰もがイメージしやすい行儀の良いランダムとは違ってバランスをとってくれない。 株はそもそも確率のゲームではないのだから、「バランスはとれないのは当然」と思っておいたほうがいい。上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる。 

リーマンショックのときもそうですが、客観的に見て安すぎるというような地合いでも、容赦なく下限をぶち破るような相場はたまにあります。株式相場はそのような場であることの認識は大切です。 

押し目買いは、下がったところで買おうとするわけだから、逆張りの一種になる。つまり、やってはいけない買い方の一つ。「少し下がったところで買う」とか「割安なタイミングで買いたい」とか考えるのは、そもそも発想として間違っている。「遅すぎたかも」などとは思わず、まだ上がっているならこれからも上がると考えて買えばいい。

 

どこで反転するかは誰にもわからない。そのタイミングや値段を予想するのは、勝手な予想を当てはめているだけ。相場のことは相場に聞くしかない。 

cisさんは順張り投資ですので、ナンピンは最悪と評しています。 

重要なのは勝率ではなく、トータルの損益。そう考えられるかどうかが株で勝つための鍵となる。 

 プロスペクト理論で示されているように、人は利得よりも損失に強い感情を抱きますが、その本能に従うと相場においてはだいたい負けます。なぜなら、これに従うと損切りは遅く、利確が早くなるからです。株式投資は、いかに利益を伸ばすかにかかっているわけですから利確は遅くなければいけません。そして、それがうまくいけば、例え1勝9敗であってもトータルで利益が出ます。

 

「損したくない、損を認めたくない」という人間的な感情が、相場では敗北に繋がる。素早う損切りは、ものすごく重要。これはテクニックと言うより心構えに近い。 

マーケットは自分の都合で動いてくれませんから、間違っていたら認めなくては勝てません。自分のこだわりを捨てて、正しく在ることが何より大切です。

大きく儲けるチャンスというのは、人間の感情が大きく揺さぶられるとき。暴落と暴騰という両極があるけれど、人は喜びや期待より悲しみや恐怖のほうが大きい生き物らしく、暴落のほうがチャンスはずっと大きい。

市場効率化仮説がありますが、相場は往々にして非合理的な動きをします。そして、その時が最もチャンスです。徹底して合理的であれば、非合理な群衆から大きな利益を得ることができます。

以前、ソフトバンクグループの株を50億円分近く損切りで売ったことがあった。そのときには、「昨日のアリババが軟調だったこともあり、ソフトバンクは売買代金1位で値を下げております」というような解説をされていた。そうじゃなくて、ただ僕がギブアップをして売っただけ。関連付けられたアリババもいい迷惑だ。こうした取引の解説をもとに、また、分析の本などが作られていく。だから僕は株の本を信用していない。

これには笑ってしまいましたが、いかに報道が適当かわかる好例ですね。投資家はこのような雑言に惑わされず徹底して事実にフォーカスするべきです。

財務分析をした結果として、割安かどうかを判断していたわけだけど、そんなことはみんな知っていて、実際には株価というものはそれを踏まえた上での取引値段になっている。企業の価値を株価が正しく反映していないと考えるより、株価こそが答えであり、世の中の総意として適正だとみなされている数字だと考えるほうが正しい。

財務分析が不要というわけではありませんが、我々がわかるような知識は市場にはとっくに織り込まれています。とはいえ、時価総額が小さい企業においては、構造的に価値と価格に乖離が出やすいです。そこについては以下のエントリを参照してください。

syachiku-finance.hatenablog.com

信用される企業はさらに信用され、割安な株は更に割安になる。そのほうが真実に近い。株式市場は公平や平等という概念で動く場ではない。

これも残酷ですけど、真実ですね。

「どうやって勉強したか?」とよく聞かれる。僕の場合はひたすら値動きを見た。マーケットのことはマーケットでしか学べない。本に書いてあるのは過去のことで、未来には役に立たない。

私もたまに友人に同じようなことをたまに聞かれるのですが、本で勉強するよりもまずは実際に売買するのが早道です(そう伝えても大抵の人はやりませんが)。やりながら本を都度読むというのがバランスがいいのではないでしょうか。

トレーダーとして難しいのは、自分の理論を何度も否定していかなければならないことなのかもしれない。どの勝負事でも同じだけど、自分を客観的に見られない人はやっぱり勝てない。

自分の考えを否定するというのはなかなか難しいです。ほとんどの人はプライドが邪魔してできないのではないでしょうか。勝てる人は、徹底して事実に向き合います。私も完全にできているとは言えませんが、安いプライドなんか捨ててしまえ精神を心がけています。そこらへんのプライドマネジメントについても時間があれば論じてみたいと思います。あ、プライドマネジメントという概念はかわんごさんのブログを参考にしました。

 

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