『運は操れる』を読んで
初めてDaigo氏の著書を読みましたが、思いの外しっかりした本でしたので内容をピックアップして紹介します。
運を操るために必要なステップ
- 不安に強くなる
- 試行回数を増やす
- 気づく力を鍛える
前提として、サイコロやルーレットのような本当に確率にのみ支配されている事象ではなく、ある程度自らでコントロールできるものの運を操ろうという内容です。所謂、「運のいい人」というのは、失敗を恐れなかったり試行回数が多かったりすることで、幸運に出会えるチャンスを高めています。本書では、具体的にどのようなアプローチをとるべきかが紹介されています。
統計学において、運や不運の周期や運気の流れは否定されている。いわゆる運のいい人は、
他の人よりたくさんのことを何度も試している人、 試す回数が多いからこそ、成功することも多いというだけ。
よく運気が巡ってきたとかいう人がいますが、そんなものは存在しません。偶然に頼らず、自らの力で運を上げていきたいものです。
自分が幸運だと信じている人は、物事を楽観的に受け止め、
希望を高める行動を起こしていく傾向がある。 希望があるから人は行動できる。行動することによって、「 もっといいことが起こるのではないか」 と次なる行動が駆り立てられる。これを心理学では「作業興奮」 という。ここで大事なのは、 やる気が出たから行動するのではなく、 行動したからやる気が出てくるという仕組みであること。つまり、 動き出すことで運をつかむチャンスが増える。
「運のいい人」は総じて楽観的です。楽観的だから失敗を恐れずチャレンジでき、そのチャレンジが失敗したとしても試行回数を増やせばいつかは成功します。やる気がでなくても、まずは行動するというのが非常に大切です。
コントロールすることのできない運についても留意が必要、
宝くじに当たるというのは、単純に当たりくじを引いたひとだけ。 ここには法則も再現性もない。これは確率的な運。 自らの行動で結果を変えることも再現することもできないような確 率論的な運に対しては一喜一憂しないこと。
これも大切です。自らがコントロールできるもの、できないものをしっかり区別しましょう。自らがコントロールできないものに一喜一憂するのは時間の無駄です。
不安傾向が強う人やネガティブな人は、
身の回りの出来事の変化に気づきにくくなる。 新たな出来事も受け入れにくくなる。不安を抱えていると、 行動する回数が減り、新しい取り組みを試さなくなり、 結果的に幸運にも気づかなくなる。不安に強くなり、 自ら動きチャレンジしながら試行錯誤を続けて、 目の前に訪れた幸運に気づくことが、運を操るための方法である。
とにかくポジティブシンキングが大切です。ポジティブになればチャレンジしやすくなりますし、何より視野が広くなりますので幸運に気づきやすくなります。
不安に強くなり、行動に出ることができたら、
次は何度も行動し続け試すこと。慣れたことを繰り返す日々では、 新しい発見に気づくことが少なくなり、巡ってきているはずの運にも鈍感になる。大切なのは、 刺激と変化と成果を求めて、小さな実験を繰り返していくこと。 制度を上げようと立ち止まって、 あれこれ考えている暇があるなら、たくさん動いたほうがいい。
何も考えず試行しろというわけではありませんが、行動は起こし続けましょう。
失敗を記録する。成功の要因はいくつもあり複雑で何が寄与しているのかわからないが失敗の要因は明らかだ、他人のミスを顧みることで、自らに訪れる不運を未然に防ぐことができる 。
さっきも書きましたが、非常に大切です。2ch創始者のひろゆき氏も行っていた話ですが、成功要因がよくニュースや書籍で挙げられますが、その成功要因を使ったからと言って成功する保証はありません。一方で「これをやれば失敗する」という失敗法則は確かにあります。あんおで、大切なのは歴史に学んで如何に失敗を避けることだったりします。なので、事前に失敗要因を排除するかが、成功要因を学んで組み込むより大事なことです。
全ての努力が夢を叶えるとは言えないが、起こした行動は確実に現実を変化させる。あなたがチケットを譲るなら、チケットを取るために必死に駆け回ったひとか、隣の人かどちらにするか。運の良さというのは単なる偶然ではなく、努力によって確率を高める行動によってコントロールすることができる。
『ワンナウツ』という野球漫画があるのですが、そこで同じような内容のシーンがありました。菅平というクビ寸前の野球選手に対して、主人公である渡久地は言いました。
自分が動かなければ何も変わらない。 そして・・・動けば、必ず何かが変わる。
いやー、かっこいいセリフですよね。がむしゃらに動くことで必ず好転するわけではありませんが、その姿勢は周囲の人の印象を変えうるものです。
運がいいと思っている人は、
いつかきっとチャンスをつかめると信じて行動している、 その結果、試行回数が増え、 成功を信じているからこそ失敗しても再チャレンジすることができ 、自信を持って行動するので精度が高まる、 行動力を支えているのが、自尊心と自己効力感。
自己効力感っていうのは心理学の用語なんですが、エフィカシーとも言います。どういう意味かというと、「自己能力の自己評価」のことです。なんだか分かりづらいかもしれませんが、自らの能力に対する信頼感とでも言えばいいでしょうか。「俺だったらこのくらいはできるはず」という思いの強さを指します。自己効力感が高ければ、失敗を恐れずチャレンジできます。プライドとやや似てる感じがしますが、プライドは自己を守るものである一方、エフィカシーは自己能力の評価なので違います。プライドは高くなってしまうと、批判を聞くことができず自分の殻に閉じこもりやすくなってしまいますからね。
レジリエンスの高い人とは、失敗からの立ち直りが早い人のこと。
立ち直りが早いから何度もチャレンジできる、 逆境や困難に対する打たれ強さは持って生まれた性格の占める部分 が大きいものですが、レジリエンスは後天的にトレーニングで鍛えることができる、
何度でもチャレンジするためにはレジリエンスの向上が必要です。先天的要素が大きいものですがトレーニングで向上できるものです。
運のいい人たちがそうではない人が見逃す偶然のようなチャンスに気づくのは、リラックスした状態で広い範囲に注意力を向けているから。なくしたものが忘れたころにでてくるのは、リラックスしているから。常にリラックスすることが気づく力を高める。また、開放性が必要。開放性とはまだ見ぬ世界に対しての好奇心を以て、行動に移すことができる行動特性、新しい経験を積極的に受け入れるほうが試行回数も増え、チャンスに巡り合う可能性が高くなる。言い換えれば遊び心が大事。
幸運に気づくためにはリラックスしている必要があります。またあらゆるものに対する好奇心があれば、更に幸運に近づくことができます。これは投資にも通じるかもしれませんね。投資においてもどのようなサービスが人気を博しているのかをウォッチすることがとても大切ですので。
一生懸命で報われる人はたくさんいるが、
報われるのは正しい方法で試行回数を増やした場合。 結果の出ない間違った方法を繰り返しても、 その努力は報われない、 うまくいかないという結果から本人が気づいて、 進む道を変えないと運はついてこない。
努力がすべて報われるわけではありません。しかし、正しい戦略を策定した上で行った努力は必ず結ばれます。がむしゃらに行動するのも大切ですが、行動しながら長期の指針を立てると成功に近づきやすくなります。
弱い繋がりからチャンスを得る確率は高い、新しい挑戦を始めるときは、自分とは異なる環境にいる人たちとの関係のほうが役に立つ。
弱い繋がりというのは、米国の社会学者であるマーク・グラノヴェッター氏が考案した概念です。新規性の高い価値ある情報は、家族や親友、職場の同僚のような「強い繋がり」よりも、知り合いの知り合いだったりちょっとした知人といった社会的繋がりが弱い人達からもたらされるという考え方です。
弱い繋がりについては、それ自体が一つの記事になってしまうくらい面白い考え方です。たまには中々会ってない古い友人に連絡を取るのもありかもしれません。
以上、いかがでしたでしょうか。表紙がやや自己主張が強い感じで手に取りづらいイメージがありますが、凄く有益な情報が盛りだくさんの書籍でした。運に対する認識が、他の人と比較し大きな優位性になることもありますので、正しい運の認識を持つようにしたいですね。